2010年9月1日燕岳


4時半起床。
準備して5時前に外に出る。
外はそれほど寒くなく、ダウンと雨具で丁度いい。
雲はすっかりと下降し雲海となっている。
あたりは雲一つない快晴だ。
ご来光とそれによって照らされる槍ヶ岳、燕岳などの景色をしばらく堪能した。

日の出前の燕岳。






日の出直前に出発する人々。






日の出直後の燕岳。






ご来光に染まる大地。
遠方には、八ヶ岳、富士山、南アルプスが小さく見えている。






朝日に染まる野口五郎岳。
ちなみに、知らない人のために書くが、野口五郎はこのあたりの出身で、野口五郎岳から芸名を取った。
野口というのは集落の名前、五郎というのは岩がごろごろしているところという意味である。






朝日に上部が染まる槍ヶ岳。



朝食は5時半から。
その後準備して6時10分出発。
中房温泉からのバスは9時40分、その次は12時35分。
9時40分に乗ろうと思うと慌しい。
せっかくここまで来たのだから景色を堪能したい。
そうするとバスが3時間もないので時間が余ってしまう。
燕岳往復55分のところを倍の1時間50分かけることにした。

信じられないような絶景が広がる。
南西方向には槍ヶ岳、その向こうに穂高岳、西には以前登った烏帽子岳、野口五郎岳、水晶岳、鷲羽岳、三俣蓮華岳、双六岳の稜線が見事だ。
数歩進んでは立ち止まり、景色を堪能し、写真を撮った。
後から来た年配の方々に追い抜かれるほどだ。
燕岳は美しい。
花崗岩からできているので、脆くどんどん砂になっている。
いずれ消えてしまうのだろう。


朝日に輝く燕岳。






遠方に笠ヶ岳が顔を出している。






昨日通った道の向こうで穂高岳と槍ヶ岳が朝日に光り輝いている。






奇妙な形の岩が、奇妙な形の影を作る。





イルカ岩。
左に槍ヶ岳、右に鷲羽岳。
まるで大鵬と柏戸を太刀持ちにしたような豪華さだ。





途中稜線の東側を通る。
こちらは常に雲に覆われているため、実や葉にたくさんの水滴がついている。
これが多くの花々が咲く源である。













振り返っても、何とも不思議な造形だ。
これほど歩いていて飽きさせない山は珍しい。
百名山に入れるべき山だと思う。






昨日登った大天井岳。






上の写真をトリミングした。
左に大天荘、右は山頂。
大天荘から右下へ下るのが本来の道だが、山頂からも道が確認できる。
この道は危ないので、自信のない人は通らないこと。
踏み跡というのは怖い。






まるで月世界のような、ここから飛び降りたらどこに行けるんだろうと思わせるような、何とも不思議な光景だ。






メガネ岩の穴から燕山荘が見える。






左に燕山荘、その少し右遠方に常念岳が小さく見えている。
中央は大天井岳、その右に穂高岳、槍ヶ岳がそびえる。






山頂もまた不思議だ。
柔らかい岩なので、人が登っているうちに徐々に階段状になったようだ。



山頂からの眺めも見事だった。

北方面の眺め。





左に烏帽子岳が小さく尖っている。
燕岳と烏帽子岳は同じ二百名山でも随分格が違うと思う。
燕岳は限りなく百名山に近い。
それに対して烏帽子岳は間違いなく二百名山だ。






スクロールしてご覧ください。
左から、ポーズを決める知らないおじさん、燕山荘、遠方に小さく常念岳、横通岳、東天井岳、大天井岳、穂高岳、槍ヶ岳、遠方に笠ヶ岳、双六岳、三俣蓮華岳、鷲羽岳、水晶岳、野口五郎岳、三ツ岳、烏帽子岳。






スクロールしてご覧ください。
カシミール3Dで作成した燕岳山頂からの360度の展望。






少し下って山頂を振り返る。
やっぱりこの山は不思議だ。






アシカの子供に見えた。



帰り道、7時半過ぎに早くも雲が上ってきた。
まるで天国にいるかのような絶景は、日の出から僅か2時間ちょっとしかないのだ。

燕山荘には予定通り8時に戻ってきた。
ここから中房温泉に下山する。
最初は花が咲いていてゆっくり下ることができたが、途中からは花もなくなり、時間は余っているのについ下ることに集中してしまう。

NEX−5は欠点もあるが、特にトリミングしてもこれだけ詳細に写っているというのが非常に楽しい。



















途中年配の男性数名のグループを追い越した。
「随分簡単に下るなあ。」
「俺も昔はああだった。」
2日目に追い越した年配の女性グループでは、
「この段差を上がったよ!」
「何が違うの?足?」

途中合戦小屋を通る。
ここはスイカが有名だ。
かなり大きく切ってあるが、800円と値段は高い。
ここには荷揚げ用ケーブルがあり、それで荷物を運んでいる。




中房温泉が見えた辺りで、登山道から硫黄臭がして地面が濡れていた。
ここは本当に温泉が湧いている。

結局中房温泉到着は9時56分。
所要時間2時間50分のところを1時間56分で下ってしまった。
仕方がないのでとにかく温泉に入る。
入浴料700円。
店の若い男性が、「今女性4人のグループが入浴していますが、よかったら声をかけますので一緒にタクシーに乗ればバス代と変わりませんよ。」
「それはぜひお願いします。」
温泉は露天風呂のみ。
熱い湯とぬるい湯があり、私は私としては珍しくぬるい湯に10分ほど浸かってゆっくりと過ごした。
髪を洗って、髭を剃って、あーすっきりした!
くしゃくしゃの髪と伸びた髭で電車に乗るのはあまり気分のいいことではない。
結局女性4人組と一緒にタクシーに乗ることになった。
呼んでから来るまで45分。
その間にカレーライスで昼食を済ませた。

女性4人組は皆さん50代ぐらいだろうか。
私と全く同じコースだが、前日に近くで宿泊したそうだ。
今日は下山のみだったそうだが、結局燕岳往復に2時間かけた私と一緒になった。

運よくタクシーに乗ることができ、しかも1300円とバス代よりも安く済んだ。
穂高駅12時6分発の電車にも乗ることができた。
松本から名古屋に行く特急では鯖寿司、名古屋からの新幹線では味噌カツ弁当、今日は4食だ。
山小屋でも周りの人たちが驚くほどよく食べた。
夕食はご飯大盛り3杯、朝食は2杯。

広島の自宅には6時過ぎに帰宅、その後練習した。

<注意!>
アルプスなどの高山は気軽に登るところではありません。
低い山で経験を積み、徐々に高度を上げ、様々な本を読むなどして知識を蓄え、装備を整え、日頃からトレーニングして体を鍛えて、天候などの条件がいい日に登るところです。
装備としては、ゴアテックスの登山靴、ゴアテックスの雨具は必須です。
それ以外にも、帽子、サングラス、ゴアテックスの手袋、登山用リュック、リュックカバー、フリース、ダウンなどが必要です。
トレーニングは登山もしくはランニング、このどちらかもしくは両方です。
ウォーキング、水泳、自転車は登山のトレーニングにはなりません。
登山には、登る筋力と同時に着地の衝撃に耐える筋力も必要です。
着地の衝撃に耐える筋力をつけるには、強い着地の衝撃を足に与えるトレーニングが必要です。

<女性>
このコースや今回宿泊した小屋には女性が非常に多い。
比較的危険個所が少なく展望が素晴らしいことなどがその理由だろう。
若いカップルの女性は大人しくて可愛い感じの人ばかり。
特に自発的に来たいわけではないが、彼の趣味に合わせている感じだ。
それに対して、女性一人、もしくは二人で来ている人は明らかに人種が違う。
一人でも生きていけるという強さがある。
結局男が好きなのは何もできなさそうな可愛い女の子なんだなあと思ったりもする。

<写真>
今回撮影した枚数は1883枚、10.6GB。
パソコンの容量が危うい。

<電池>
今回初めて電池を使い切った。
1本の電池で約1000枚撮影できた。
電源を入れてすぐ撮影し、時々確認し、すぐに切る。
スイングパノラマは恐らくバッテリー消費量が多いだろう。
ちなみに今回は3本の電池を持って行った。

<布団>
旅館には泊まらないことにしている。
背中が痛くて寝られないのだ。
燕山荘では個室に泊まり、敷布団を3枚使ったのだが、それでも背中が痛い。
家ではビックカメラ生毛工房の低反発マットを使用しているが、これが実に気持ちいい。
中国旅行の時ラテックス(ゴム素材に無数の気泡が入ったもの)を勧められたが、これもなかなかよかった。
軽量という点ではこちらの方が優れているかも知れない。

<歯ブラシ>
軽量化のため普通の歯ブラシを持って行ったのだが、みんなよくこれで磨けるなと思う。
帰宅して電動歯ブラシを使うと全く違う。
ちなみに現在はフィリップスのソニケアを使用しているが、長年愛用してきたブラウンよりも遥かに優れていると思う。

<トイレ>
常念小屋のトイレは当然ぽっとんで、その上にプラスチック製の洋式便器が置いてあるが、清潔感があり問題はない。
紙はこれも山の常識で一緒に捨ててはいけない。
置いてあるゴミ箱に捨てる。
燕山荘のトイレは洗浄液を流すようになっていてより快適だ。
さらにすごいのは、紙を一緒に捨てられるのだ。
山小屋はトイレにお金がかかる。
垂れ流している小屋もあるが、それでは環境を破壊してしまう。
そのため処理をするのだが、それが大変らしい。
紙が混ざるのも非常に困るようだ。
燕山荘は一体どうやっているのだろう?

<ホワイトバランス>
やはりNEX−5のホワイトバランスオートは最悪だ。
白っぽく、青っぽくなる。
晴天でも曇りに設定すると丁度いい。
夕焼けモードの色が薄いという問題については彩度を微調整できるのだが、+3ではわざとらしい。
+1か+2が丁度いい。
ひょっとして夕焼けモードではなくホワイトバランス日陰の方がよいのではないかと思ったりもする。

<プーランク>
心地よい縦走の時はアヴェ・マリアが鳴る。
きつい登りではラストのギロチンの場面の主題。
寝ようと横になると、スーハーーーという呼吸が、「ドーシーーードーレーーー」という主題に聴こえる。

<落書き>
燕岳の落書きはかなり古いもののようだが、ひどい。
岩を削って書いてある。
こういう輩は厳しく処罰すべきだろう。

<むくみ>
3日目の朝、鏡を見るとむくんだひどい顔。
やはり疲れているのだ。

<ガーミン>
私の持っているガーミンはランニングや自転車用だが、高度表示はかなり役に立つ。
いざとなれば軌跡も出る。
ただ、電池は内蔵されているので切れたら終わり。
3日目、燕岳から燕山荘に戻ってきた直後に切れた。

<道迷い>
ガーミンの登山用GPSがあれば迷わなかっただろうか。
常念岳の道は細か過ぎて表示できないだろう。
大天井岳では迷った時に地図を出せば済んだ話。
ただ、すぐに見られるという点では便利かも知れない。
今回は持って行ってもそれほど役に立たなかっただろうが、ホワイトアウトなどの状況では命を救うことになる。

<パウダー>
スポーツドリンクのパウダーを持って行くと便利だ。
山小屋では宿泊者には蛇口から出る水は無料、立ち寄った人にも1リットル200円ぐらい。
ペットボトルは500ml400〜500円ぐらいする。
何よりもゴミが増えないのがいい。

<リップクリーム>
UVカットのリップクリームがあり、便利だ。
ただし頻繁に水分を補給するので、気にする人は何度も塗らなければならず面倒だ。
唇も日焼けする。
何も対策をしないと、ペロッと皮がむける。

<帽子>
帽子は必ず頭全体を覆うものにすること。
以前つばのついた帽子で富士山を登った時、両方の耳上部の皮がむけた。

<問い合わせ>
燕山荘の人が電話で対応していた。
「いえ、うちは山小屋ですのでシャワーはありません。」
少しは調べてから電話したらどうか?
そんな知識で登ってきたら遭難するよ。

<ご来光>
ご来光を見るにはサングラスがあった方がいい。
裸眼で見つめると目がやられる。


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